更年期と頭痛

更年期の頭痛とホルモンバランス
女性の9割が経験するという更年期障害。閉経を迎える50歳前後の10年間の更年期にはさまざまな症状が起こりやすくなります。その中でももっとも代表的なものといえるのが頭痛です。
更年期障害の典型的な症状としてはほかにイライラや疲労感などが挙げられますが、身体的な症状としてもっとも多く現れるのが頭痛でしょう。更年期障害を経験した人のおよそ7割程度が頭痛に苦しめられるといいます。
その原因にはいくつかの説が挙げられていますが、その中でももっとも有力なのが脳内の血流の不安定化。頭痛は頭部の血流がスムーズにいかなくなることによって起こります。通常は長時間同じ姿勢でいることによって血流が圧迫されたり、心身の健康状態の悪化によって血行不良になった場合に起こるものです。しかし更年期障害の場合、ホルモンバランスの乱れが血流を悪化させるといわれているのです。
閉経へと進むにつれ卵巣機能が低下していきます。その結果女性ホルモンの一種であるエストロゲンの分泌量が減少してしまい、もうひとつの女性ホルモンであるプロゲステロンとのバランスが崩れてしまうのです。その結果自律神経が乱れるなど更年期障害をもたらす原因を作ってしまうのです。
とくに自律神経は血管の拡張と収縮に大きな影響をもたらすだけに深刻です。自律神経がうまく働かなくなることで脳へ十分な血流が流れなくなり頭痛を抱えやすくなってしまうのです。
このように、頭痛は更年期のエストロゲンの減少と直接関わりあうものです。それだけに悩まされてしまうことが多くなるのです。
更年期の頭痛とストレスの関係
更年期に頭痛に悩まされるケースが非常に多いものです。頭痛は更年期障害の典型的な症状といってもよいでしょう。そのおもな原因は卵巣機能の低下によるエストロゲンの分泌量の減少ですが、その他にもさまざまな原因で頭痛が起こります。
とくに大きな原因となるのがストレス。更年期を迎える50歳前後は何かとストレスがたまりやすい環境にあるものです。家庭環境や経済状況の悩みなどを抱えやすいほか、ストレスを解消できるような趣味を持っていないなど。そこに更年期障害が加わることでさらに頭痛の症状が酷くなってしまうことが多いのです。
ストレスは交感神経に大きな影響をもたらします。ストレスが蓄積することで血管が収縮してしまい頭部に十分な血液が行き渡らなくなるのです。その結果頭痛の症状が悪化してしまうわけです。
このように、ストレスは頭痛の原因になるほか、症状を悪化させてしまうものです。更年期障害と向き合う際にはストレスを蓄積させることなく適度に解消できるような環境を用意することが大事になってくるでしょう。
そのためにはまず家庭環境の問題を解決すること。とくに更年期障害の苦しみを家族に理解してもらうことが大事です。更年期にはイライラしたり怒りっぽくなってしまうことで家族から孤立してしまうことも少なくありません。それが文字通り頭痛の種になってしまうこと。必要ならば医師の診察やカウンセリングも必要になるかもしれません。その上でリラックスできる趣味や時間を作るよう心がけることも求められるでしょう。
更年期の頭痛と日常生活
更年期がもたらす頭痛と向き合うためには生活環境の改善が重要になってきます。50歳前後の更年期には心身ともに大きな変化が生じてくる場合があります。それらが頭痛の原因になったり、悪化させてしまうことも多いからです。
更年期には子供の就職や結婚、あるいは親の介護問題など何かと悩みを抱えやすいもの。それらが不安やストレスといった頭痛の種になってしまうことも多いものです。また夫婦関係に問題を抱えていたり、厳しい経済状況に悩まされていることも多いでしょう。ストレスや緊張状態の継続は血液の流れを滞らせ、頭部に十分な血液を届かなくすることで頭痛の原因を作ってしまいます。
また体の衰えが目立ち始めるのも更年期の特徴です。頭痛との関わりでとくに注意が必要なのが眼精疲労。老眼が進行するなど視力が衰えやすいのがこの時期。これまで通り目を酷使していると頭痛の原因になってしまうこともあるのです。
長時間同じ姿勢でいることで首や肩に負担をかけるのも要注意。首や肩の筋肉が長時間緊張を続けていると血液の流れが滞ってしまい頭痛をもたらしてしまいます。更年期障害の症状に頭痛と並んで肩こりがあるのもそのためです。これはストレスによる緊張状態も大きな影響を与えるだけにとくに注意が必要になるでしょう。
このように、更年期に差しかかるとそれまでの生活習慣を改めなければならない場合が出てきます。とくに原因も見当たらないのに頭痛に悩まされるようになった場合には更年期に合わせた生活習慣に改める必要が出てくるでしょう。
更年期の頭痛対策
更年期の頭痛対策にはいくつかの方法があります。更年期の頭痛はおもに卵巣機能の低下によりエストロゲンの分泌量が減少することにありますが、そのほかにも日常生活の過ごし方が大きな影響をもたらします。それを軽減させることによって更年期の頭痛を防ぐこともできるのです。
もっとも効果的な対策方法は医師の治療で行われるホルモン補充療法でしょう。減少したエストロゲンを内服薬や貼り薬で補うことでホルモンバランスの乱れを矯正し、頭部への血液の流れをスムーズにします。頭痛のほか更年期障害の症状が酷い場合にはこの選択肢が最善のものとなるでしょう。
日常生活でできる対策としてはまずストレスの解消があります。楽しめる趣味を見つけること、あるいは入浴時にはゆっくりと湯につかること。リラックスすると同時に肩や首の筋肉を緩め、血行を促進する効果があります。
それから目を休めることも大事です。眼精疲労は更年期の頭痛の大きな原因のひとつ。とくに仕事に熱中しがちの人は要注意です。目を休める際には肩や首もよくほぐし、同じ姿勢を長時間続けない配慮も重要になってきます。
ほかにも女性の場合は冷え対策なども不可欠です。そして何より、家族をはじめとする周囲の人たちに更年期障害を理解してもらうことがもっとも大事なポイントとなるでしょう。イライラや疲労感、だるさなどによって周囲の人間から孤立してしまうことも多い更年期障害。不安や緊張を極力感じない環境を用意することが最大の対策となります。
更年期の頭痛と他の疾患
更年期には頭痛を抱えやすいのが大きな特徴です。更年期障害に悩まされている人のおよそ7割が頭痛を抱えているとも言われています。
その原因はエストロゲンの分泌量の減少によるホルモンバランスの乱れにあると言われています。それが自律神経のバランスも見出し、血管の拡張・収縮を滞らせることで頭部に血液が流れなくなってしまうのです。
ただし、注意が必要なのは更年期の頭痛が必ずしも上に挙げた原因によるものとは限らないというものです。より深刻な肉体的疾患によって生じている可能性もあるのです。
脳梗塞など脳腫瘍など命に関わるような病気が潜んでいる可能性もあります。ほかにも脳出血な慢性硬膜下血腫、髄膜炎、くも膜下出血なども頭痛をもたらす疾患として知られています。
これらの疾患の場合、頭痛のほか手足のしびれやろれつがうまく回らないといった症状が伴うのが特徴です。頭痛を抱えている場合にはこういった症状も伴っていないかどうかをよくチェックする必要もあるでしょう。
逆に更年期に起こりやすい頭痛のタイプとしては緊張型頭痛、偏頭痛、群発頭痛などが上げられます。これらの頭痛は正しい対策をとれば命の危険に及ぶことはありません。それだけにしっかりと区別することが重要になるのです。
50歳前後の更年期は何かと体に問題が生じやすくなる時期でもあります。心身ともに健康的に乗り切るためには日ごろから健康状態をチェックすることが欠かせません。頭痛の症状や原因についてもよく踏まえておきたいところです。
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