更年期ホルモン療法

更年期障害の治療として広く行われているのがホルモン療法と呼ばれるものです。更年期ホルモン療法の方法とメリット・デメリット、注意点について掲載しています。
更年期ホルモン療法とは
更年期障害の治療法としてもっとも広く知られているのが更年期ホルモン療法です。
めまい、イライラ、疲労感、頭痛、肩こり…さまざまな症状が発症することで知られている更年期障害。50代前後の女性にとくに多く、およそ9割の人がなんらかの症状を抱えるといわれています。その原因となるのがエストロゲンの分泌量の減少。閉経が近づくにつれ卵巣機能が低下し、女性ホルモンの一種であるエストロゲンの分泌量が減ってしまうのです。その結果、ホルモンバランスが崩れてしまい自律神経が不安定になるなど心身にさまざまな影響をもたらしてしまうのです。
更年期ホルモン療法はそんなホルモンバランスの乱れを調節することができる治療方法です。
つまり、更年期ホルモン治療は減少したエストロゲンを外から補うことで心身の状態の乱れを調節し、更年期障害の症状を和らげることができるわけです。
この治療方法は副作用があるなど危険性も指摘されていますが、それ以上にメリットが大きく、更年期障害の有効な治療方法として確率されているのです。ホルモンバランスの乱れは日常生活の食事や運動、ストレスの解消などによって改善するのがベストではあるのですが、現実には難しいもの。卵巣機能の低下という避けられない状態を薬の力によって改善することによってより効果的な対策がとれるのです。
更年期ホルモン療法に抵抗を感じている人も多いようです。医師とよく相談するなど、リスクを踏まえたうえで判断するとよいのではないでしょうか。
更年期ホルモン療法の方法
減少する女性ホルモンを外から補うことによって更年期障害の症状を和らげる更年期ホルモン療法。もっとも効果的な更年期障害の治療法として広く活用されています。
更年期障害の主原因はエストロゲンの減少。卵巣機能が低下することによって分泌量が低下し、もうひとつの女性ホルモンであるプロゲステロンとのバランスが崩れてしまうのです。ですから、更年期ホルモン療法ではそのエストロゲンを補充することによって崩れたバランスをもとの状態に戻すことで更年期障害の症状を緩和することができるのです。
この更年期ホルモン療法は大きく分けて2種類あります。服用するタイプと皮膚に貼るタイプです。医師の治療のもとで更年期ホルモン療法を行う場合には服用するタイプが一般的です。ただし、飲み薬の場合、肝機能障害や胃腸障害を抱えている人は利用することができません。そんな時には貼り薬を利用します。貼り薬は皮膚に塗布することでエストロゲンが吸収され、補充することができます。
ただし、貼り薬の場合、補充する量の調節が難しいという問題点もあります。また場合によっては注射で補充する場合もあります。
このホルモン補充療法を受けることによって更年期障害だけでなく、さまざまな効果が得られることが知られています。コレステロール値の調節や記憶力の向上、血液循環の活発化などです。そのため、更年期が過ぎた後にも服用を続けるケースも増えています。さまざまな症状に悩まされることが多い更年期障害。その対策方法として有効な選択肢といえるのではないでしょうか。
更年期ホルモン療法の治療ができないケース
更年期にさしかかると減少するエストロゲンを補うことで更年期障害の症状を和らげることができる更年期ホルモン療法。症状が重い場合に行うと効果的な治療方法です。
更年期障害の対策としては運動や食事、あるいはストレスや疲労の解消など日常生活のケアが重要と言われています。しかしエストロゲンが減少する量や更年期障害の症状には個人差があり、なかなかそれだけでは十分な効果が得られない場合があります。そんな時に更年期ホルモン療法が威力を発揮します。減少するエストロゲンを外から補充することによって根本の原因であるホルモンバランスの乱れを調節できるのです。
効果がもっとも高い方法として知られている更年期ホルモン療法ですが、すべての人が受けられるというわけではありません。健康状態などによっては治療が適さないケースも出てきます。
まず過去の病歴。更年期ホルモン療法は乳がんのリスクが高くなることが知られています。そのため、乳ガン、あるいは子宮ガンにかかったことがある人には治療は行えません。また肝機能障害や胃腸障害を抱えている人も無理です。そのほか血栓症も更年期ホルモン療法を行うことができないケースとして挙げられます。
また、男性は前立腺がんや前立腺の肥大を抱えている人も治療ができません。糖尿病や高血圧など生活習慣病を抱えている場合、治療は不可能ではありませんが、慎重に行う必要が出てきます。このように、健康状態によって治療ができない場合があるので事前によく検査を受けておく必要があるのです。
更年期ホルモン療法と検査方法
更年期ホルモン療法は卵巣から分泌されるエストロゲン(卵胞ホルモン)を補うことでホルモンバランスの乱れを調節する更年期障害の治療方法です。この更年期ホルモン療法を行うためにはまずホルモンの検査をする必要があります。
閉経前後、おもに45~55歳くらいの間に更年期障害が発症します。疲労感やイライラ、頭痛などさまざまな症状に見舞われることが多いのが特徴ですが、その原因は卵巣機能の低下がもたらすエストロゲンの減少。これは個人差もあり、どれぐらい分泌量が減っているのか、卵巣機能が衰えているのかをチェックすることが対策に必要になってくるのです。更年期ホルモン療法もその結果を踏まえて行っていくことになります。
女性ホルモンの量を検査する方法はおもに3種類の方法が行われます。どれも採血して女性ホルモンの値を調べることになります。
まずエストラジオール。エストロゲンの量を調べる検査方法です。それから「LH/FSH」という方法。LHとは黄体形成ホルモン、FSHは卵胞刺激ホルモンのこと。これらの値をチェックすることで卵巣機能の状態を知ることができます。もうひとつがプロラクチン。乳腺の発達を促すホルモンとして知られているものです。この値をチェックすることで女性ホルモンの異常を調べることができます。
最近では若年性更年期障害も増えています。20代、30代で月経が止まってしまったり、更年期障害と同じ症状に見舞われるというケースが増えているのです。そんな場合にも更年期ホルモン療法を含めた治療が必要になる場合があります。その判断にも女性ホルモンの検査が重要な意味を持ってくるのです。
更年期ホルモン療法の副作用とリスクについて
更年期障害の治療法としてもっとも効果が高いといわれている更年期ホルモン療法。更年期障害に対する認知度が高まっていることもあってか、広く活用されるようになっています。
この更年期ホルモン療法とは、減少したホルモンの分泌を外から補うことで乱れたホルモンバランスを整える治療法です。女性の場合はおもに卵巣機能の低下がもたらすエストロゲンの分泌量の減少を補うことが目的となります。
更年期障害の症状が酷い場合など、効果的に治療を行う方法として更年期ホルモン療法は役立てられていますが、その反面危険性も指摘されています。
そのひとつがガンのリスク。更年期ホルモン療法を行うことで乳ガン、子宮ガン、卵巣ガンのリスクが高くなることが知られており、あるデータでは更年期ホルモン療法を受けることで乳ガンになるリスクが1.2倍になるといわれています。また卵巣ガン、子宮ガン、乳ガンすべてを含めると1.63倍にも昇るといわれています。
また、男性の場合は前立腺がんや前立腺肥大になるリスクが高くなるというデータもあります。
さらに、尿失禁を起こす副作用も指摘されています。長期間の更年期ホルモン療法を受けている人は尿失禁の可能性が高くなるというデータがあり、ある臨床試験では更年期ホルモン療法を長期間受けている女性の48%が急迫性尿失禁を、54%が緊張性尿失禁を起こすという結果が出ているそうです。
このように、副作用・リスクもある更年期ホルモン治療。メリットとデメリットをしっかりと把握した上で受けることが重要になってくるのです。
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