女性ホルモンと更年期

更年期における様々な症状は女性ホルモンに大きく影響されています。更年期障害と女性ホルモンとの関係について掲載しています。
女性ホルモンと更年期のメカニズム
更年期障害には女性ホルモンが大きく影響しているといわれています。更年期にさしかかると女性ホルモンの分泌量が急激に減少することで心身にさまざまな影響がもたらされるのです。
女性ホルモンは女性らしさを保つために分泌されているものです。バストの膨らみやウエストのくびれなどは女性ホルモンがもたらすものですし、月経周期や新陳代謝の活性化なども女性ホルモンによってもたらされています。
この女性ホルモンは大きくわけて二つの種類に分けられます。エストロゲン(卵胞ホルモン)とプロゲステロン(黄体ホルモン)です。通常ではこの二つの女性ホルモンがバランスを取られた状態となっています。
しかし、更年期に入る40代後半くらいから女性ホルモンのうちエストロゲンの分泌量が急激に減少していきます。その結果ホルモンバランスが崩れてしまい、さまざまな影響が心身にもたらされてしまうのです。
たとえば月経周期の乱れ。生理の遅れやなかなか終わらずにダラダラと続いてしまう状態、さらには不正出血などはこのホルモンバランスの乱れがもたらすものです。それから自律神経の乱れ。ホルモンバランスの乱れが自律神経のコントロールも乱してしまい、緊張状態の持続やイライラ、不安感といった症状をもたらしてしまうのです。
女性は閉経を迎える50代にさしかかるとどうしても女性ホルモンのバランスが乱れてしまいます。症状こそ個人差があるものの、およそ9割の女性が更年期障害の症状を自覚するというのもこの女性ホルモンの分泌量とバランスの変化によるものなのです。
更年期とエストロゲン
更年期障害にはさまざまな症状が知られています。頭痛や肩こり、下腹部痛といった身体的な症状から不安感や疲労感、イライラなど精神的な症状まで。ほかにも動悸や冷え、のぼせ、めまいなどさまざまな症状が知られています。
これら更年期障害のそもそもの原因は女性ホルモン。とくにエストロゲンが大きな原因となっているといわれています。エストロゲンとは2種類ある女性ホルモンのうちのひとつ、卵胞ホルモンとも呼ばれるものです。
本来、女性ホルモンはこのエストロゲンとプロゲステロン(黄体ホルモン)がバランスを取ることによって健康状態が維持されています。正常な月経周期もこの二つの女性ホルモンが交互に優位に立つことによってもたらされます。
このエストロゲンは20代に分泌量のピークを迎え、30代を過ぎる頃から少しずつ減少していきます。そして更年期にさしかかる40代後半に入ると減少するペースが急激に早まっていくのです。これは閉経へと向かう卵巣機能の低下が大きな要因となっています。
エストロゲンは単に月経周期を機能させるだけの存在ではありません。新陳代謝を活性化させたり、骨量を増やしたり、皮下脂肪の生成を抑制するといった働きも持っています。そのためエストロゲンが減少することで更年期障害としてさまざまな影響があらわれてしまうのです。とくに骨量の減少による骨粗しょう症などは要注意といわれています。
エストロゲンは閉経後も2~3年間は分泌が続きます。
そのためその前後10年間程度を更年期と読んでいるのです。
更年期とホルモンバランス
更年期障害の原因は女性ホルモンの分泌量の変化だといわれています。とくにエストロゲン(卵胞ホルモン)の分泌量が減少することで心身にさまざまな影響がもたらされることで更年期障害が悪化することになります。
たとえば月経周期。これは女性ホルモンのバランスによって成り立っています。月経から約14日間はエストロゲンの分泌量が多くなり優位の状態になります。この時期には新陳代謝が活発化するなどの影響があらわれます。一方、排卵を境にした次の14日間はもうひとつの女性ホルモン、プロゲステロン(黄体ホルモン)が優位に立ちます。これは受精しやすくするためです。この時期はエストロゲンの量が減ることでイライラや痛みなどに悩まされることになります。
つまり、更年期障害はエストロゲンの分泌量が減少し女性ホルモンのバランスが崩れることでつねにプロゲステロンが優位に立っているような状況になってしまうのです。月経周期の乱れなどは更年期障害の典型的な例といえるでしょうし、イライラやうつ症状なども更年期によく見られる症状となります。
そのため、更年期障害の症状はエストロゲンの減少の度合いによって個人差が出てきます。分泌量の減少が少しずつ進む人は症状が軽く、急激に進む人ほど重くなっていくのです。あまりに症状が酷い場合はホルモン補充療法といった医師の治療が必要なのもそのためです。
このように、更年期障害は女性ホルモンのバランスの乱れが根本的な要因として起こるものなのです。
女性ホルモンと若年性更年期障害
最近若い世代の間で更年期障害に悩まされるケースが増えていると言います。若年性更年期障害と呼ばれているものですが、これはおもに日常生活が原因で女性ホルモンのバランスが崩れてしまうことによるものです。
更年期障害とは本来、卵巣機能の低下により女性ホルモンのひとつエストロゲンの分泌量が減少することによってもたらされます。閉経が近づくにつれて起こっていく避けられない症状ともいえます。閉経の平均年齢は50歳といわれており、その前後10年間と更年期と呼んでいます。
ですから、20代、30代ではエストロゲンの分泌量が減ったり、女性ホルモンのバランスが崩れるといった状態は本来起こらないはずなのです。しかし、さまざまな要因によってこの起こらない状態が起こってしまうのです。
その原因は脳にある視床下部にあります。女性ホルモンの分泌はこの視床下部の指令によって行われています。しかしこの視床下部という部分はストレスや健康状態の影響を非常に受けやすく、正常に指令を下せなくなってしまうことが多いのです。
ストレスや無理なダイエット、喫煙など、若い女性が抱えやすい問題が視床下部の働きを鈍らせ、女性ホルモンのバランスを崩すことによって更年期障害と同様の症状をもたらしてしまうわけです。更年期のように卵巣機能が低下したからではなく、正常に機能しなくなったのが原因となるわけです。
ですから、若年性更年期障害の対策には日常生活の改善が非常に重要になってきます。規則正しい、健康的な生活を送ることが大前提となるのです。
更年期とホルモン補充療法
更年期障害の有効な対策方法としてホルモン補充療法が知られています。
更年期障害の大きな原因となっているのが女性ホルモンの乱れです。本来女性ホルモンはエストロゲンとプロゲステロンという二つのホルモンがバランスを取る形で成り立っています。月経周期もこの二つの女性ホルモンが14日周期で交互に優位に立つことによって維持されています。しかし、更年期に入ると卵巣機能の低下によりエストロゲンの分泌量が急激に減少していきます。その結果女性ホルモンのバランスが乱れることによって月経周期の乱れ、不正出血などの症状が発生してしまうのです。
さらに、エストロゲンは自律神経のバランスや骨量の増加、コレステロール値のコントロールといった役割を担っています。そのエストロゲンが減少することで心身にさまざまな影響がもたらされてしまうのです。
そんなエストロゲンの減少と女性ホルモンの乱れを改善することができるのがホルモン補充療法です。これはその名の通り、減少したエストロゲンを外から補うことによってバランスを整えようというものです。
このホルモン補充療法は飲み薬、貼り薬の2種類が利用されます。また注射が利用される場合もあります。貼り薬の場合は皮膚に吸収させることによって効果を発揮します。
ただし、エストロゲンの補充はさまざまな副作用がもたらされることでも知られています。とくに子宮ガンや乳ガンのリスクが高まるという点は大きな問題です。ですからホルモン補充療法を行う際には影響を最小限に抑えるためにプロゲステロンも一緒に投与されることが多いようです。
このように、ホルモン補充療法にはデメリットもありますが、辛い更年期障害を改善することができる有効な方法となっています。
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